Artist's commentary
さぁ、トレーニングの幕開けだ。
チャーリー団長。舞台上でのあなたは、気高く、逞しい。普段の可憐な少女像からは似ても似つかないほどの変貌ぶりに、私は思わず心を奪われてしまいました。
そして、私は考えてしまったのです。逞しい団長が恥じらう瞬間が見たいと。もちろん、普段の健気な少女が恥じらう様は最高に愛おしいということは大前提での話です。他者と格の違いを放つ存在の彼女が、不意を突かれてもなお、威厳を保とうとする姿勢が見たい。このような卑しい考えを持った私は、チャーリー団長に無礼者と呼ばれてしまっても仕方がないでしょう。この作品を描いたことに後悔はありません。
しかし、懸念事項が一つ。それは、私という魔精を志す者が、少女と魔精が戯れている絵を描いたならば「そうか、そうか、つまり君はこんなことをするために魔精になりたいんだな。そんなやつなんだな。」という感想を持つ方がいるかもしれないということです。
誤解です。チャーリー団長と戯れているトリポデロは、私ではありません。そもそも、私はまだ魔精にすらなれていない人間です。よって、このトリポデロは私の先輩にあたります。トリポデロ先輩は汚れを知らない純粋無垢な子供です。わんぱくな故に、団長を倒してしまったみたいです。
私はトリポデロ先輩が好きです。トリポデロ先輩が沼地を駆け回り、通り道にあった水たまりの泥を私の服まで跳ねさせたとしても、私の背中をめがけて突進してきたとしても、耳元で大声で鳴いたとしても、この気持ちは変わりません。例え、トリポデロ先輩に唾を吐かれたとしても、その行為さえ愛おしいと思います。
つまり、この作品は、私の愛しの団長が私の好きな先輩と戯れている...私が愛おしいと感じるものが詰まっているということです。決して、私個人とチャーリー団長が戯れている訳ではありません。安心して、チャーリー団長とトリポデロ先輩を見守ってください。
