Artist's commentary
【PFLS】騎士の別れ【ホースヒルの戦い】
pixivファンタジア Last Saga【pixiv #72934234 »】
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老いぼれフラムニア【pixiv #73378719 »】
(是非こちらのキャプション全文をご覧下さい)
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騎士の別れ
上陸した海岸からホースヒルの森林地帯へ向かう行軍中、他よりやや目線の高いロズニエルは兵士たちの間を埋もれるように歩く、懐かしいシルエットを見つけた。
「久しく、フラムニア殿」
「おお、ロズニエル殿。貴公は変わらぬな」
「そう言ってくれるのは、フラムニア殿だけです」
五王国最強と謳われる騎士、アーサー率いる騎士団fairy ringが一角、フラムニアは、ロズニエルにとって今や数少ない旧知の戦士のひとりであった。
「ロズニエル殿は、先の戦いで二つの戦場を飛竜の如く渡って戦ったとか」
「いやいや、あれはただのしくじりにて…」
フラムニアは、騎士団のなかでは戦果に乏しい騎士である。若い兵士が彼の戦歴を知らぬまではまだ良く、卑怯者、騎士団のお荷物とまで思うものも居た。
しかし、長く戦地を過ごすうちに度々出会い、他愛ない話を交わすまでになった彼を、ロズニエルは師と思っていた。
フラムニアに到底その気は無いだろう。ロズニエルもそう呼んだことは無い。彼を恐縮させ、困らせるのは分かり切っていた。
正確には、彼の戦法を習ったのではなく、盗んだのである。
フラムニアは小兵である。菌糸族の体格は多種多様であるが、彼は兵士の大半を占めるヒトや獣人の1/3程の体格しか持たない。しかし、己より大きな敵に死角から挑み、隙を突き、鎧の防御を崩し、その乱れに一太刀でも浴びせることで、少しずつであるが、着実に敵の力を削ぐ。
そういった戦い方は、かつて複雑な戦歴によって突然「巨影殺し」への転向を余儀なくされたロズニエルにとっては、見て学ぶに値するものだった。
しばらく、ロズニエルはフラムニアの歩調に合わせ進んでいた。
「………フラムニア殿」
「うむ」
「兵士たちの、風の噂に聞きました」
「うむ」
「此度のフラムニア殿は、まるで、死地を探しておられるようだと」
「うむ。……いやはや、お恥ずかしい」
「いえ。ただ、……まことですか」
「ええ。私の本心に相違ない」
「……」
「年寄りの、世迷い事と……思われるか」
「いえ。ただ、俺に言えるのは、」
「……」
「ご武運を」
「……かたじけない」
まだ森林は浅く、拍子抜けするほどのどかな小路で、またエルダーグランの軍勢は見えなかった。
恐らく、もっと森深くに陣を敷いているのだ。じきに、木漏れ日も小鳥の囀りも戦火に塗り替えられる。
「フラムニア殿」
「うむ」
「その、乗られますか」
「いや、お気遣い無用。森林の行軍は慣れております故」
「それは失礼を」
「では、機があれば、戦場にて」
「うむ。ロズニエル殿も、ご武運を」
ロズニエルは、フラムニアに別れを告げると、歩速を早めて進んでいった。
ただ一度だけ、名残惜しげに振り返ったが、それからすぐに他兵の影に遮られて、見えなくなった。
ロズニエル【pixiv #72956975 »】
