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Artist's commentary
SATORI-EYE
火焔猫燐の手記から
あるいはこれは相当な見当違いかもしれない。私にこいし様の心中はわからない、が、思いついたことをしたためておく。
いつだったか、こいし様は自ら能力を閉ざした。
さとり妖怪は人の心を読む。そんな生来の業を嫌い、解放を願ったのだろうか。
人間は理由を獲得するために生まれてくるが、妖怪は理由があって生まれてくる。
井上円了といったか、あの男。
我々妖怪を「実怪」と「虚怪」に分けて、その二つをさらに細かく分けていたな。
つまるところ妖怪とは科学で説明がつくものだと言った。そして殆どの妖怪の発生理由が人間の勘違いだと。
そんな勘違いで我々は生まれ、その理由に縛られ続ける。
何故自分はさとり妖怪だったのか、何故心を読めなければならなかったのか。
人間の勘違いのせいで、何故私は人に嫌われなければならないのか。
だから、さとり妖怪を捨ててやる。人間と同じく自分で存在の理由を獲得してみせる。
そして得た新たな能力「無意識」。
誰にも認知されない、記憶にも残らない。それは正に自分をゼロに戻す力。
こいし様は自分の理不尽な生まれをゼロにすることで、自分を自分のものとしたのだ。
自分を変革させたのだ。
希望を胸に、
瞳で心を覗く生き方から、瞳で瞳を見つめる生き方へと。
