Artist's commentary
「お、お届け物です!!」
■最近の僕の趣味は、文通。ただの文通ではない。「セルフ文通」というものだ。自分宛に、手紙を投函している。それも、毎日。いや僕だって、こんな痛々しいことはしたくない。けれど、生憎、僕には友達がいない。これも、毎日配達員さんに会うためなのだ。 ■「最近毎日ですね!あの、ぶ、文通ですか?・・・えへへっ、素敵だと思いますっ!」僕は、今日もご苦労様、といって手紙を受け取る。セントバイミー。・・・実は、この手紙の「内容」、僕宛ではない。僕の、愛の言葉を紡いだ・・・配達員さん宛のラブレターなのだ!配達員さんの目の前で封を切る。このラブレターで、僕は告白する!! ■「・・・いえ、文通なんて程の物じゃあないですよ」目を合わせないよう、届いた手紙に目を通すフリをしながら、そう答えた。僕は、友達がいない上に、極度のドヘタレなのだった。 ■次の配達先へ向かって、どんどん小さくなっていく配達員さんを眺めながら、僕はため息をついた。これで、良かったのかもしれない。上空に、ぽっかりと浮かんだ 絶 景 を望むだけで、僕はこんなにも、幸せな気持ちになれるのだから。 ■ぴたりと、小さな影の動きが止まった。パンツ見てるのばれたか。「ん?」大きく、なっている。止まったと思った影は今、僕の庭先に向かい、一次元の等加速度運動を、平たく言えば、 落 ち て い る !! 「おいおいおいおい!!洒落にならないぞあの高さは!!!?」考えてみれば、生身の人間があんな高さを、特別な装備もなしに飛んでいるのだ。あ、いや人間じゃあなかったか。 ■少年野球で鍛えた落下点予測能力で配達員さんの着地ポイントに、ギリで回り込むと直後、「うおっまぶしっ」僕は夜雀のおしりにキスをした。しばし悶絶。・・・全然。全然そういうアレではなかった。少女の体はまだふくらみが少なくて、こう、座ったときに出てくるような、骨盤の角が、もろに僕の頬骨を打った。 ■幻想郷だって、そう広くはない。配達員さんの今日の仕事分くらいは、僕一人でも何とかなるだろう。ならなかった。この情報化社会において、みんなどれだけ手紙でやりとりをしているんだッ!?こりゃ、配達員さんだって倒れるよ!やれやれ、お粥はまだ鍋にたくさん残ってるけど、配達員さん、うちの台所の場所わかるかな? ・・・しかし、恋愛なんて、みんな「セルフ文通」みたいなものだと、そう思わない?
